2026年6月26日 成田 秀樹 氏: ハイブリッド超伝導体におけるゼロ磁場非相反応答
ハイブリッド超伝導体におけるゼロ磁場非相反応答
成田 秀樹 氏
Hideki Narita
名古屋大学
2026年6月26日(金) 10:30~ 理学館614
ハイブリッド超伝導体では、元素の種類や膜厚、積層順序などを自在に設計できるため、空間反転対称性が破れた超伝導体を人工的に創製できる。このような超伝導体では非相反応答[1]や超伝導ダイオード効果[2]が発現する。特に外部磁場を必要としないゼロ磁場超伝導ダイオード効果は、低消費電力デバイスや不揮発性メモリーへの応用が期待されている[3, 4]。
本研究では、強磁性体(Fe, Co)、重金属(Pt, Pd)、超伝導体(Nb, V, Ta)を用いた多層膜において、近接効果による交換磁場とスピン軌道相互作用を利用し、ゼロ磁場下で高効率な超伝導ダイオード効果を実証した。さらに、スピンバルブ構造を導入することで、磁化配置に応じた超伝導ダイオード効果の極性反転やON/OFF制御にも成功した[5]。これらの成果は、ハイブリッド超伝導体における積層構造や界面近接効果の精密制御が超伝導ダイオード効果の実現・制御に有効であることを示している。
最近の超伝導ダイオード効果の研究は、さらに大きなダイオード効果を示す新材料の探索に加え、この効果をプローブとした新奇電子相の開拓に展開されている。また、キラル有機分子を無機物質に層間インターカレーションしたハイブリッド構造[6]においても超伝導ダイオード効果が観測され、対称性と非相反応答の関係が議論されている。
本セミナーでは、これまでに開拓してきたハイブリッド超伝導体を中心に超伝導ダイオード効果の最近の研究成果を紹介する。
[1] N. Nagaosa, Y. Yanase, Annu. Rev. Condens. Matter Phys. 15, 63 (2024).
[2] F. Ando et al., Nature 584, 373 (2020).
[3] H. Narita et al., Nat. Nanotechnol. 17, 823 (2022).
[4] H. Narita et al., Adv. Mater. 35, 2304083 (2023).
[5] H. Narita, Proc. of SPIE 13586 (2025).
[6] Z. Wan et al., Nature 632, 69–74 (2024).
