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魔法角ツイスト2層グラフェンにおけるネマティック秩序―SU(4)揺らぎ間干渉機構―

大成誠一郎, 紺谷浩, 固体物理 57, 571-580 (2022).

グラフェンを2層わずかに角度をずらし積層したツイスト2層グラフェンは、 モアレ超格子を形成するため、新規強相関電子系として注目されている。 特に魔法角(1.1°)回転したツイスト2層グラフェン(MATBG)では、ほぼフラットなバンド分散をもつ ため、超伝導相やネマティック秩序相を含む多彩な相が出現する。 本稿では、MATBGのネマティック秩序の新規発現機構を解説した。 MATBGのワニエ軌道では、スピン・バレー複合自由度に関して局所SU(4)対称性を持つ。 このような高い対称性の発現は固体物理では希であり、 多チャンネルのSU(4)揺らぎが同等に発達することで、 新しい電子相関効果を創発する。高次多体効果とSU(4)対称性に 起因するSU(4)揺らぎ間の量子干渉効果がネマティック秩序の発現に重要であり、 ネマティックボンド秩序が発現することを示した。

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