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スピン流で観る物理現象

新見康洋氏
Niimi Yasuhiro
大阪大学大学院 理学研究科物理学専攻

2017年4月19日(水) 15時30分 理学館506

 スピントロニクスとは、電子の持つ電荷とスピンの自由度を組み合わせて、工学的に利用・応用する分野の呼称である。スピントロニクスにおける最も顕著な成功例は、巨大磁気抵抗効果を応用したハードディスクドライブの読み取りヘッドで、今日の情報社会で欠くことのできないツールとなっている。また、巨大磁気抵抗効果を発見したFert、Grünberg両博士には2007年にノーベル物理学賞が授与されている。最近になって、この分野からスピンホール効果やスピンゼーベック効果など新しい現象が報告されており、これらの現象は次世代超低消費電力デバイスへの応用が期待されるため、非常に注目を集め、現在集中的に研究が進んでいる。これらの現象の起源となるのが、スピン流と呼ばれる、電荷の流れを伴わないスピン角運動量のみの流れである。この特性に着目すると、上記の応用研究だけでなく、物質中のスピン状態を感度よく検出する新たなプローブとして基礎研究にも使用できる。そこで本講演では、まずスピン流の基本的な考え方、生成及び検出方法を紹介した後に、実際に「スピン流で観る」とどんな物理現象が明らかにできるのか、我々が取り組んでいる最新の研究を分かりやすく説明したい。

(本セミナーはIGERセミナーと共催です.ポスターはこちら.)