本文へスキップ

CaAgX (X=P, As)における線ノード・ディラック半金属相とトポロジカル絶縁体相

山影相 氏
Ai Yamakage
名古屋大学大学院 工学研究科

2016年5月23日(月) 13時30分 理学館614

 伝導帯と価電子帯の両方がフェルミ面をもつ物質が半金属であるが,この内,ある運動量において直接ギャップがゼロになっているものはトポロジカル半金属と呼ばれている.その代表例としてバンドギャップがブリルアン域中のある点で閉じているワイル半金属がある.ワイル半金属は低エネルギーの電子状態がワイル粒子として記述されることから,異常ホール効果やカイラル磁気効果(電流∥磁場)といった輸送現象が生じることが予言され,興味を集めている.

 一方,我々は,バンドギャップがブリルアン域中で線上に閉じる(線ノード)ことが可能であること,また,CaAgX (X=P, As)においてそれが実現していることを見出した.ノードの次元がワイル半金属(=点ノード)とは異なることから,その輸送・応答現象も新奇なものであることが期待され,興味深い.講演では第一原理計算に基づいたバルクと表面の電子状態についての結果と,ノードに関連して定義されるトポロジカル不変量について述べる.また,この系は強いスピン軌道相互作用を考慮するとトポロジカル絶縁体になる.そのトポロジカル絶縁体のトポロジカル不変量が線ノードのトポロジカル不変量から直ちに決定されることも分かった.これは一般の空間反転対称性が破れたトポロジカル絶縁体のトポロジカル不変量を簡単に計算する手法としても用いることができる.

A. Yamakage, Y. Yamakawa, Y. Tanaka, and Y. Okamoto, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 013708 (2016).