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ディラック強磁性体の輸送係数

藤本純治 氏
Junji Fujimoto
大阪大学大学院 基礎工学研究科

2013年10月25日 13時30分 理学館614

強磁性体を用いたスピントロニクスは,磁気輸送現象や電流による磁化操作など現在盛んに研究されている.これらを引き起こす最も基本的な機構はスピン軌道相互作用 (SOC) を必要としないが,SOC は質的に新しい効果を生むため,重要な研究対象となっている.そこで強磁性体におけるスピン軌道相互作用の効果を統一的な視点から解明するべく,我々は SOC が相対論的効果であることに着目し,強磁性状態を3次元ディラック方程式に基づいてモデル化し,その解析を行っている.

現在,ディラック方程式に基づく強磁性体を記述するモデルは2種類が考えられている[1, 2]が,我々は強磁性の秩序変数は自発的対称性の破れによってダイナミカルに決定されるという観点から,より一般的なモデルを構築した.このモデルハミルトンで表される強磁性体をディラック強磁性体と呼んでいる.

本発表では秩序変数を与えられたパラメターとして扱い,異方性磁気抵抗効果 (AMR) と異常ホール効果 (AHE) を議論する[3, 4].線形応答理論に沿って電気伝導度を求めると,縦伝導度の異方性から AMR が,横伝導度の反対称部分から AHE が得られ,様々な秩序変数のパラメター領域でそれぞれの特徴的な振る舞いとその物理的解釈を報告する.

[1] A.H. MacDonald and S.H. Vosko, J. Phys. C 12, 2977 (1979).
[2] M.V. Ramana and A.K. Rajagopal, J. Phys. C 14, 4291 (1981).
[3] [1] のモデルに対して非相対論的な極限との比較を行ったものとして A. Cr ́epieux and P. Bruno, Phys. Rev. B 64, 094434 (2001); 64, 014416 (2001).
[4] [1] のモデルを用いた第一原理的なアプローチは H. Ebert et al., Rep. Prog. Phys. 74, 096501 (2011).