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分子性導体のディラック電子系における新物性の理論

小林晃人、森成隆夫 固体物理 Vol. 49, No. 4 pp. 241-251 (2014).

固体中における”質量ゼロの”ディラック電子系はグラフェンやトポロジカル絶縁体表面など多様な物質で見い出されている。分子性導体 α-(BEDT-TTF)2I3は3次元結晶でありながら2次元ディラック電子系を持つ唯一の物質であり、単原子層物質や表面状態では測定が 難しい核磁気共鳴、層間磁気抵抗、比熱等の実験が可能であることから、独自のアプローチによる発展が期待されている。本稿では α-(BEDT-TTF)2I3の特徴に由来する新物性のメカニズムに関する理論研究の現状を報告し、今後の展望を探る。