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高対称軸上におけるトポロジカル結晶超伝導ノードの分類:点ノード、線ノード、面ノード

角田峻太郎 氏
Shuntaro Sumita
京都大学 大学院理学研究科

2018年12月11日(火) 10:30~ 理学館614

 異方的超伝導体の発見を契機として、対称性による超伝導の分類が1980年代頃から始まった[1-4]。そのような理論は、結晶点群に基づいて超伝導の「秩序変数」の分類を行うものであり、その結果は超伝導の励起スペクトルの解析において広く用いられてきた。しかし近年、上記の理論は実際にはBogoliubov準粒子スペクトルの励起エネルギーである超伝導「ギャップ」に対しては正しい結果を与えないことがある、ということが分かってきている。

 実際、近年の厳密な超伝導ギャップの分類によって、これまでの秩序変数の分類では予言されなかった種々の非自明なギャップ構造が明らかにされ、理解が進んでいる[5-11]。その中の1つの重要な結果は、結晶対称性に保護された全ての線ノードはトポロジカル数によっても特徴付けられていることである[9, 10]。また、3回回転や6回回転をもつ軸上では正常Bloch状態の角運動量j_zに依存したギャップ構造(jz依存ギャップ構造)があることも重要な発見である[5, 11]。そこで本研究では群論およびK理論の知識[12]を相補的に用いることで、(上記のjz依存ギャップ構造を含む)高対称なn回回転軸上における結晶対称性に保護された超伝導ノードを分類する。結果として、群論による分類はトポロジカル的分類と完全に一致することが分かる。さらにセミナーでは、いくつかの候補物質についてもギャップ構造を議論する予定である。

[1] G. E. Volovik and L. P. Gor'kov, Pis'ma Zh. Eksp. Teor. Fiz. 39, 550 (1984).
[2] G. E. Volovik and L. P. Gor'kov, Zh. Eksp. Teor. Fiz. 88, 1412 (1985).
[3] P. W. Anderson, Phys. Rev. B 30, 4000 (1984).
[4] M. Sigrist and K. Ueda, Rev. Mod. Phys. 63, 239 (1991).
[5] V. G. Yarzhemsky and E. N. Murav'ev, J. Phys.: Condens. Matter 4, 3525 (1992).
[6] M. R. Norman, Phys. Rev. B 52, 15093 (1995).
[7] T. Micklitz and M. R. Norman, Phys. Rev. B 80, 100506 (2009).
[8] T. Nomoto and H. Ikeda, J. Phys. Soc. Jpn. 86, 023703 (2017).
[9] T. Micklitz and M. R. Norman, Phys. Rev. Lett. 118, 207001 (2017).
[10] S. Kobayashi, SS, Y. Yanase, and M. Sato, Phys. Rev. B 97, 180504 (2018).
[11] SS and Y. Yanase, Phys. Rev. B 97, 134512 (2018).
[12] K. Shiozaki, M. Sato, and K. Gomi, arXiv:1802.06694.