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1次元ボーズ・フェルミ混合原子気体における複合粒子形成

土射津昌久 氏
Masahisa Tsuchiizu
名古屋大学 大学院理学研究科

2013年11月1日 10時30分 理学館614

冷却原子系は、BCS-BECクロスオーバー現象を示すなど、新しい量子多体系として注目されている。BCS状態ではフェルミ粒子がクーパー対を形成するが、粒子間の引力が強い場合、2個のフェルミ粒子が強く結合したボソン分子が形成され、ボソン分子のボーズ•アインシュタイン凝縮(BEC)状態が実現する。冷却原子系ではフェシュバッハ共鳴と呼ばれる現象を利用し、このフェルミ粒子間の相互作用を制御することが可能となった。これにより、従来別々に議論されてきたBCS状態とBEC状態が、統一的に理解されるようになった。

最近では、ボソン原子とフェルミオン原子の混合系も注目されている。そこでは、ボソン原子とフェルミオン原子のフェシュバッハ共鳴によるフェルミオン分子形成のプロセスが議論され、粒子数や分子形成の束縛エネルギーを変化させることにより、様々な状態が実現することが平均場近似に基づく解析から提唱された[1,2]。

本研究では、1次元ボーズ・フェルミ混合原子系において、フェルミオン分子形成のプロセスを平均場を超えた枠組みで解析した[3]。これまでに主に電子相関系の解析に適用されてきたボソン化法と繰り込み群法を発展させ、ボーズ・フェルミ混合原子系の基底状態の相図を調べ、フェルミオン原子とフェルミオン分子のペアリング状態など、新奇な複合粒子が形成されることを明らかにした。

[1] H. Yabu, Y. Takayama, and T. Suzuki, Physica B 329, 25 (2003).
[2] S. Powell, S. Sachdev, and H. P. Buchler, Phys. Rev. B 72, 024534 (2005).
[3] S. Akhanjee, M. Tsuchiizu, and A. Furusaki, Phys. Rev. A 88, 043620 (2013).