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有限温度におけるソフトコア粒子系の固体-気体相転移

山下耕平 氏
Kohei Yamashita
名古屋大学大学院 理学研究科

2013年7月12日 16時30分 理学館614

一般的に希ガスの単原子分子などでは、ヘリウムのような量子性が強い物質ほど零点振動が激しくなり、固体になりにくいと考えられている。実際、Nosanowらは零点振動の大きさを表す量子パラメターを指標とし変分モンテカルロ法を用いて、Lennard-Jonesポテンシャルのみが働く系では、量子性が強くなると高密度にしなければ固化しない事を示した。しかしながら、Alderらによって行われた古典剛体球の計算と、Kalosらによって行われた量子剛体球の計算を比較すると、量子剛体球の方が低密度で固化する結果となっている。このように量子性の強さと固体-気体(液体)相転移の関係性について一貫した理解が得られていないのが現状である。本講演では、剛体球における先行研究との違いを明確にしつつ、ベキ乗の斥力相互作用のみが働く系での経路積分モンテカルロ法を用いた我々の計算結果について話をする。主に固化に対する零点振動の影響についての話をするが、粒子の統計性の違いによる固化への影響についても議論する予定である。