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多軌道超伝導体の軌道間ペアリング状態のトポロジカルな性質

矢田 圭司 氏
Keiji Yada
名古屋大学 工学研究科

2023年5月12日(金) 10:30~ 理学館614

酸化物界面やSr2RuO4に代表されるようなd電子系のペロブスカイト構造においてはしばしば軌道自由度を持った電子系となる。 このような軌道自由度を持った系の超伝導状態においては同一軌道間のペアの他に異なる軌道間でクーパー対が組まれる可能性が指摘されている。 本コロキウムにおいては実際に軌道間でペアが形成された際にハミルトニアンが持つトポロジカルな構造について議論する。 酸化物界面においては巻き付き数によって保護されたノードの形成及びそれに伴うゼロエネルギーアンドレーエフ束縛状態が存在すること[1]、 またそれに伴いそのジョセフソン接合においては高調波の成分が顕著になる[2]。 Sr2RuO4のEgペアリング状態おいては擬ゼーマン磁場によって(001)界面のゼロエネルギー状態がによって分裂すること[3]の他、 チャーン数に保護されたカイラルエッジ状態が(100)に出現することが分かった。

[1] Y. Fukaya, et al., Phys. Rev B 97, 174522 (2018)
[2] Y. Fukaya, et al., npj Quantum Mater. 7, 99 (2022)
[3] S. Ando, et al., Phys. Rev. B 106, 214520 (2023)