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空間反転対称性の破れた超伝導体におけるトポロジカルなスピン構造

矢田 圭司 氏
Keiji Yada
名古屋大学 工学部

2019年5月27日 13:30~ 理学館614

2000年代以降、トポロジカルなバンド構造を持つトポロジカル絶縁体や、トポロジカル超伝導体などのトポロジカル物質の理論が発展し、 トポロジカル物質の分類や、トポロジーに起因するエッジ状態(バルク-エッジ対応)の研究が発展してきた。 これらの理論では、主に運動量空間におけるハミルトニアンの構造のトポロジーに焦点が当てられている。 一方、トポロジカルな構造はハミルトニアンだけでなく、各バンドのスピン角運動量の期待値などベクトル的な物理量にも出現することがある。 本研究では、そのようなトポロジカルなスピン構造が空間反転対称性の破れた超伝導体において形成されることを報告する。 対象とする系は酸化物ヘテロ構造に代表されるC4v点群の空間反転対称性の破れた超伝導体である。 この系においてはスピン縮退のないBdGバンドが形成されるが、その第一励起バンドのスピン構造を調べたところ、 超伝導の対称性によってノードが出現し、そのノード周りでスピンの面内成分が2π変化する渦構造が出来ることが分かった。