研究紹介

現在、私たちの研究室の研究テーマは次の3つである。 

強相関電子系の研究

強相関電子系では、電子間相互作用の効果が強いために通常のバンド理論(1体近似理論)が適用できない。 それゆえ、バンド理論の予言を越えた豊かな物理現象が発現する。強相関電子系における新しいタイプの超伝導、 新規な磁性・軌道秩序の発生など、さまざまな可能性を明らかにすることと、これらを研究するために新規な手法を開発することが研究の目的である。

  • 鉄砒素系高温超伝導体
    2008年に細野秀雄氏が発見した鉄砒素系超伝導体は56Kまで転移温度が上昇し、世界中に旋風を巻き起こした。軌道揺らぎに着目した新しい超伝導機構を提唱している。
  • 異常ホール効果
    異常ホール効果とは、強磁性金属中でゼロ磁場下で発現するホール効果である。その起源は、軌道の自由度が電子に与えるベリー位相-軌道Aharonov-Bohm効果-である。
  • スピンホール効果
    外部電場の垂直方向に「スピン流」が流れるスピンホール効果は、スピントロニクスにおいても大変重要である。ここでも軌道Aharonov-Bohm効果が重要な役割を担う。
  • 超固体相
    強い量子性と相関効果のために固体秩序と超流動秩序の共存が実現するボース固体相(超固体相)の可能性を理論的に探究している。

主要論文の紹介

 

低次元電子系の研究

Dirac-cone低次元電子系である有機導体では分子性結晶の特徴を反映したユニークな現象が出現する。さらに電子相関と低次元性の揺らぎの効果により、きわめて多彩な物性が展開される。これらの物理の統一的な理解のために以下の研究を行っている。

  • 擬1次元有機導体
    TMTCF塩における低次元揺らぎと相転移 (超伝導、電荷秩序、スピン密度波、磁場中軌道効果) 
    多分子軌道効果(第一原理計算、TTM-TTPの分子内電荷秩序)
  • 擬2次元有機導体
    BEDT-TTF塩等の超伝導と電荷秩序
    ディラック電子系(電子相関、ベリー位相、光学応答、バンド間磁場効果)

 > 主要論文の紹介

 

結晶成長とパターン形成の研究

 非平衡現象の理解は,物理学の大きな未解決課題のひとつである.原子や分子が適切な条件を準備すれば,何らの外的作用によることなしに自ら構造を作り出していくことは驚嘆に値する.結晶成長は物理学の俎上にのる,その典型的な例であり,結晶が成長していく仕組み,さらにその際に出現するさまざまな形態形成の原理を明らかにすることが研究の目的である.step.jpg

  • 結晶表面の非平衡ステップパターン
     原子ステップは,成長時や昇華時に原子レベルのゆらぎと決定論的な非線形効果の結果,不思議なメゾスコピックパターンを作り出す.パターン形成の普遍的な仕組みを解き明かすことはナノ構造形態制御にもつながる.
  • 弾性相互作用とヘテロエピタキシャル成長
     量子ドットなどに使われる結晶の自己成長抑制効果は弾性相互作用に起因する.もっとも基礎的なところからその仕組みを解明することが目的. 
  • 結晶化による対称性の自発的破れとカイラリティ転換の機構
     自然界のアミノ酸はなぜみんな左型なのか?この難問の解決に関係するかもしれない,そして新しい非対称合成にも有望な,結晶粉砕によるカイラリティ転換の機構を解明することを目指す.

 > 主要論文の紹介